はじめて寄席演芸

2023年7月9日

このページにたどり着いた方の中には、初めて寄席や大衆芸能・大衆演芸(落語・講談など)に興味を持った方もいらっしゃるかと思います。
ここでは、主に初心者の方向けに現代の寄席演芸について簡単に説明します。

はじめに

まず、このサイトでの「寄席演芸」の意味について定めておきます。「寄席で演じられる芸能」のことです。

一般に、落語や講談、浪曲、そして色物と呼ばれる漫才や曲芸などを「大衆演芸」であるとか、「大衆芸能」などと言います。
しかし、その言葉を文字通り読めば、現代的・テレビ的な漫才・コント・司会芸なども入ってしまい、収拾がつかなくなります。
そこで、本サイトでは「寄席のなかで演じられる芸能」に限定するために「寄席演芸」という言葉を使います。

「寄席」とはもともと「人を集める場所」という意味のことですが、現代では
「落語などの古典芸能を中心に演じる演芸場(または演芸会)」としての用法が多いです。

さて、「寄席演芸」は、いわゆる古典文化・古典芸能のなかでも最も身近に感じやすいものの一つです。
なぜなら、寄席演芸は現代の話し言葉で演じられたり、見て楽しむ芸能として演じられているからです。
日本語ネイティブであれば、誰でもすぐ楽しめる古典文化といえるでしょう。

定席寄席とホール落語

寄席演芸を楽しむ方法は大きく分けて二つあります。
一つは、常設の演芸場で行われる定席寄席(じょうせきよせ)。もう一つは大規模ホールを借りて行うホール落語です。

まず、定席寄席の良いところは、年末など一部時期を除いて一年中毎日興行を行っているため、
行きたい日に行きたいと思ったらふらっと立ち寄り演芸を楽しむことが出来る点です。
また、10~15分の持ち時間を基本に沢山の演者が出演するため飽きさせません。
木戸銭(きどせん、入場料)も3,000円程度と比較的安価に抑えられている点も優れています。
多くの演芸場は定員が100~300人程度と寄席演芸を鑑賞するのに適切なキャパシティとなっている点も良いところです。
欠点としては、持ち時間が短く、主任(トリ)でも30分程度と一人の演者をじっくり楽しむには不向きです。
また、それほど面白くない演者の芸も見なければならないことです。

ホール落語の良いところは、公演の主催者が出演者を少人数に絞り込んでおり、一定の品質が保たれていることが多い点です。
また、出演者の持ち時間が長く、時には1時間近くの長講(ちょうこう。長い噺)を聞くことができることもあります。
また、客層も比較的上質なことが多く、カジュアルな寄席と比べてフォーマルな雰囲気で落語を中心とした演芸を楽しめます。
欠点としては、入場料が比較的高く、時には2~3時間で6,000円近い会もあります。
また、公演日程が固定されており、自分の予定をそれに合わせなければならない点も不便です。

そのほかの公演形態としては、出演者が小規模なホールや飲食スペースを借りて行う自主公演、
地元の人がボランティア精神を発揮しつつ出演者を招いて企画製作している地域寄席などがあります。

筆者の私見では、まずは定席寄席に足を運ぶことをお勧めします。
寄席は芸人のショーケースとも呼ばれており、沢山の芸人と出会うことができます。
寄席演芸はその芸能自体が好きという人ももちろん多いですが、一方では個人の芸人を追っかけする形になる演芸ファンも多く、
未来のお気に入り芸人との接点を持つためにも、試しに寄席へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

どの寄席公演を選んだらよいのか迷ったときお勧めなのが、「真打昇進披露興行」「襲名披露興行」などの企画公演です。 これらの公演は寄席側・出演者の協会側ともに選りすぐりの芸人を選定していることが多く、 また真打昇進や襲名を祝う雰囲気が強く、場内の装飾もあり明るく華やかです。

チケットの入手方法

最後に、チケットの入手方法について説明します。

寄席の原則は全席自由・当日現金売りです。 企画公演や人気公演の場合は前売予約制になることもありますが、販売方法は寄席によって異なります。 公立の国立演芸場や横浜にぎわい座は事前予約が可能で、独自のチケットサイトがあります。 もちろん当日券がある場合は当日窓口で購入できます。

一方、ホール落語やその他の公演は、それぞれの公演によって窓口が異なりますので、販売所をよく確かめてください。

以上、参考になれば幸いです。

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