令和五年七月場所・星取表(最終結果)と解説

2023年7月25日

【更新】2023年7月29日

このページでは、令和五年七月場所(名古屋場所)の星取表(最終結果)と今場所を振り返る解説を書きました。
※本ページでの星取表は東西を分ける伝統的な記法とは異なり、インターネットでの可読性を考慮したレイアウトで掲載します。
※凡例:○=勝ち、●=負け、□=不戦勝、■=不戦敗、や=休み、☆=勝ち越し、★=負け越し

幕内星取表 <優勝=豊昇龍>

四股名番付勝敗十一十二十三十四千秋楽
照ノ富士東横綱★1勝3敗11休
てるのふじ阿炎錦木翔猿正代
貴景勝東大関★0勝0敗15休
たかけいしょう
霧島西大関★6勝7敗2休
きりしま錦木琴ノ若翔猿正代御嶽海翠富士明生宇良大栄翔若元春豊昇龍朝乃山阿炎
豊昇龍東関脇☆12勝3敗
ほうしょうりゅう翔猿正代錦木御嶽海阿炎翠富士朝乃山宇良平戸海琴ノ若玉鷲北勝富士霧島若元春伯桜鵬
大栄翔西関脇☆9勝6敗
だいえいしょう正代御嶽海翠富士錦木明生琴ノ若宇良朝乃山阿炎平戸海霧島玉鷲若元春阿武咲隆の勝
若元春西関脇2☆9勝6敗
わかもとはる御嶽海翔猿正代翠富士錦木明生阿炎琴ノ若宇良阿武咲北勝富士霧島大栄翔豊昇龍朝乃山
琴ノ若東小結☆11勝4敗
ことのわか翠富士明生御嶽海霧島正代大栄翔錦木若元春翔猿豊昇龍湘南乃海遠藤阿炎宇良竜電
阿炎西小結★6勝9敗
あび照ノ富士翠富士明生翔猿豊昇龍錦木若元春正代大栄翔御嶽海宝富士伯桜鵬琴ノ若平戸海霧島

四股名番付勝敗十一十二十三十四千秋楽
錦木東前頭1☆10勝5敗
にしきぎ霧島照ノ富士豊昇龍大栄翔若元春阿炎琴ノ若翔猿御嶽海明生遠藤湘南乃海伯桜鵬竜電北勝富士
翔猿西前頭1☆9勝6敗
とびざる豊昇龍若元春照ノ富士阿炎霧島御嶽海正代錦木琴ノ若翠富士明生朝乃山宇良千代翔馬琴恵光
正代東前頭2★6勝9敗
しょうだい大栄翔豊昇龍若元春照ノ富士琴ノ若霧島翔猿阿炎翠富士北青鵬御嶽海明生朝乃山王鵬宇良
御嶽海西前頭2★3勝12敗
みたけうみ若元春大栄翔琴ノ若豊昇龍翠富士翔猿霧島明生錦木阿炎正代宇良平戸海佐田の海阿武咲
翠富士東前頭3★4勝11敗
みどりふじ琴ノ若阿炎大栄翔若元春御嶽海豊昇龍明生霧島正代翔猿王鵬平戸海高安剣翔北青鵬
明生西前頭3☆8勝7敗
めいせい朝乃山琴ノ若阿炎宇良大栄翔若元春翠富士御嶽海霧島錦木翔猿正代王鵬北青鵬金峰山
朝乃山東前頭4☆8勝4敗3休
あさのやま明生宇良平戸海阿武咲北青鵬王鵬豊昇龍大栄翔翔猿正代霧島若元春
宇良西前頭4★7勝8敗
うら平戸海朝乃山阿武咲明生王鵬北青鵬大栄翔豊昇龍若元春霧島錦富士御嶽海翔猿琴ノ若正代
平戸海東前頭5★5勝10敗
ひらどうみ宇良阿武咲朝乃山北青鵬高安玉鷲王鵬錦富士豊昇龍大栄翔隆の勝翠富士御嶽海阿炎琴勝峰
阿武咲西前頭5★6勝9敗
おうのしょう北青鵬平戸海宇良朝乃山玉鷲高安佐田の海王鵬錦富士若元春豪ノ山剣翔隆の勝大栄翔御嶽海

四股名番付勝敗十一十二十三十四千秋楽
北青鵬東前頭6★5勝10敗
ほくせいほう阿武咲王鵬高安平戸海朝乃山宇良玉鷲佐田の海隆の勝正代妙義龍琴恵光琴勝峰明生翠富士
王鵬西前頭6★6勝9敗
おうほう高安北青鵬玉鷲佐田の海宇良朝乃山平戸海阿武咲北勝富士錦富士翠富士琴勝峰明生正代武将山
高安東前頭7★7勝8敗
たかやす王鵬玉鷲北青鵬隆の勝平戸海阿武咲錦富士北勝富士佐田の海金峰山伯桜鵬豪ノ山翠富士大翔鵬千代翔馬
玉鷲西前頭7☆8勝7敗
たまわし佐田の海高安王鵬錦富士阿武咲平戸海北青鵬隆の勝金峰山北勝富士豊昇龍大栄翔妙義龍琴恵光豪ノ山
佐田の海東前頭8★5勝10敗
さだのうみ玉鷲錦富士隆の勝王鵬北勝富士金峰山阿武咲北青鵬高安剣翔琴恵光武将山大翔鵬御嶽海碧山
錦富士西前頭8★5勝10敗
にしきふじ隆の勝佐田の海北勝富士玉鷲金峰山妙義龍高安平戸海阿武咲王鵬宇良竜電湘南乃海碧山遠藤
隆の勝東前頭9☆8勝7敗
たかのしょう錦富士北勝富士佐田の海高安妙義龍剣翔金峰山玉鷲北青鵬大翔鵬平戸海千代翔馬阿武咲豪ノ山大栄翔
北勝富士西前頭9☆12勝3敗
ほくとふじ金峰山隆の勝錦富士妙義龍佐田の海琴恵光剣翔高安王鵬玉鷲若元春豊昇龍遠藤伯桜鵬錦木
金峰山東前頭10★7勝8敗
きんぼうざん北勝富士妙義龍琴恵光剣翔錦富士佐田の海隆の勝千代翔馬玉鷲高安琴勝峰碧山竜電湘南乃海明生
妙義龍西前頭10★6勝9敗
みょうぎりゅう琴恵光金峰山剣翔北勝富士隆の勝錦富士千代翔馬豪ノ山琴勝峰竜電北青鵬宝富士玉鷲遠藤湘南乃海

四股名番付勝敗十一十二十三十四千秋楽
琴恵光東前頭11☆8勝7敗
ことえこう妙義龍剣翔金峰山千代翔馬豪ノ山北勝富士大翔鵬宝富士湘南乃海伯桜鵬佐田の海北青鵬武将山玉鷲翔猿
剣翔西前頭11★5勝10敗
つるぎしょう千代翔馬琴恵光妙義龍金峰山琴勝峰隆の勝北勝富士武将山竜電佐田の海碧山阿武咲豪ノ山翠富士宝富士
千代翔馬東前頭12★6勝9敗
ちよしょうま剣翔豪ノ山琴勝峰琴恵光大翔鵬湘南乃海妙義龍金峰山碧山遠藤武将山隆の勝宝富士翔猿高安
若隆景西前頭12★0勝0敗15休
わかたかかげ
豪ノ山東前頭13☆10勝5敗
ごうのやま琴勝峰千代翔馬大翔鵬竜電琴恵光伯桜鵬湘南乃海妙義龍遠藤宝富士阿武咲高安剣翔隆の勝玉鷲
琴勝峰西前頭13★7勝8敗
ことしょうほう豪ノ山大翔鵬千代翔馬湘南乃海剣翔竜電武将山遠藤妙義龍碧山金峰山王鵬北青鵬宝富士平戸海
大翔鵬東前頭14★6勝9敗
だいしょうほう湘南乃海琴勝峰豪ノ山宝富士千代翔馬武将山琴恵光碧山伯桜鵬隆の勝竜電欧勝馬佐田の海高安狼雅
湘南乃海西前頭14☆10勝5敗
しょうなんのうみ大翔鵬宝富士遠藤琴勝峰碧山千代翔馬豪ノ山伯桜鵬琴恵光武将山琴ノ若錦木錦富士金峰山妙義龍
竜電東前頭15☆10勝5敗
りゅうでん宝富士遠藤武将山豪ノ山伯桜鵬琴勝峰碧山一山本剣翔妙義龍大翔鵬錦富士金峰山錦木琴ノ若
宝富士西前頭15☆9勝6敗
たからふじ竜電湘南乃海伯桜鵬大翔鵬遠藤碧山島津海琴恵光武将山豪ノ山阿炎妙義龍千代翔馬琴勝峰剣翔

四股名番付勝敗十一十二十三十四千秋楽
遠藤東前頭16☆10勝5敗
えんどう武将山竜電湘南乃海碧山宝富士水戸龍伯桜鵬琴勝峰豪ノ山千代翔馬錦木琴ノ若北勝富士妙義龍錦富士
武将山西前頭16★3勝12敗
ぶしょうざん遠藤碧山竜電伯桜鵬狼雅大翔鵬琴勝峰剣翔宝富士湘南乃海千代翔馬佐田の海琴恵光玉正鳳王鵬
碧山東前頭17☆9勝6敗
あおいやま伯桜鵬武将山熱海富士遠藤湘南乃海宝富士竜電大翔鵬千代翔馬琴勝峰剣翔金峰山東白龍錦富士佐田の海
伯桜鵬西前頭17☆11勝4敗
はくおうほう碧山宝富士武将山竜電豪ノ山遠藤湘南乃海大翔鵬琴恵光高安阿炎錦木北勝富士豊昇龍

三賞

三賞受賞者
殊勲賞錦木
敢闘賞豊昇龍※、琴ノ若※、北勝富士、豪ノ山※、湘南乃海※、伯桜鵬
技能賞伯桜鵬

※豊昇龍、琴ノ若、湘南乃海、豪ノ山の4名は条件付き「今日勝てば」をクリアして受賞

十両星取表 <優勝=熱海富士>

四股名番付勝敗十一十二十三十四千秋楽
東十両1☆9勝6敗
かがやき熱海富士伯桜鵬狼雅一山本水戸龍欧勝馬東白龍島津海玉正鳳北の若東龍千代丸大奄美友風美ノ海
熱海富士西十両1☆11勝4敗
あたみふじ狼雅碧山水戸龍一山本島津海欧勝馬東白龍北の若玉正鳳白鷹山獅司友風大奄美天空海
狼雅東十両2☆8勝7敗
ろうが水戸龍熱海富士島津海武将山東白龍玉正鳳北の若一山本欧勝馬美ノ海英乃海東龍獅司大翔鵬
水戸龍西十両2★6勝9敗
みとりゅう狼雅一山本島津海熱海富士遠藤北の若欧勝馬東白龍東龍貴健斗紫雷千代栄美ノ海白鷹山
一山本東十両3★4勝9敗2休
いちやまもと欧勝馬水戸龍東白龍熱海富士竜電狼雅美ノ海千代の海志摩ノ海對馬洋勇磨千代丸
島津海西十両3★5勝10敗
しまづうみ東白龍欧勝馬水戸龍狼雅玉正鳳熱海富士宝富士東龍白鷹山志摩ノ海天空海千代丸貴健斗勇磨
欧勝馬東十両4★7勝8敗
おうしょうま一山本島津海玉正鳳東白龍北の若熱海富士水戸龍白鷹山狼雅友風大翔鵬美ノ海天空海對馬洋
東白龍西十両4★7勝8敗
とうはくりゅう島津海玉正鳳一山本欧勝馬白鷹山狼雅熱海富士水戸龍志摩ノ海獅司輝鵬碧山千代栄千代の海
玉正鳳東十両5☆10勝5敗
たましょうほう北の若東白龍欧勝馬東龍島津海白鷹山狼雅美ノ海熱海富士大奄美友風獅司武将山千代栄
北の若西十両5☆10勝5敗
きたのわか玉正鳳東龍白鷹山美ノ海欧勝馬貴健斗水戸龍狼雅熱海富士千代丸大奄美志摩ノ海紫雷友風

四股名番付勝敗十一十二十三十四千秋楽
藤青雲東十両6★0勝0敗15休
ふじせいうん
東龍西十両6☆7勝8敗
あずまりゅう白鷹山北の若美ノ海玉正鳳貴健斗天空海大奄美友風島津海水戸龍對馬洋狼雅千代丸紫雷
白鷹山東十両7★6勝9敗
はくようざん東龍美ノ海北の若貴健斗東白龍玉正鳳天空海志摩ノ海欧勝馬島津海熱海富士千代栄勇磨對馬洋水戸龍
美ノ海西十両7☆8勝7敗
ちゅらのうみ貴健斗白鷹山東龍北の若天空海千代丸千代栄玉正鳳大奄美一山本狼雅千代の海欧勝馬水戸龍
貴健斗東十両8★7勝8敗
たかけんと美ノ海天空海大奄美白鷹山東龍北の若獅司英乃海紫雷對馬洋水戸龍勇磨千代の海島津海志摩ノ海
天空海西十両8★7勝8敗
あくあ大奄美貴健斗友風千代栄美ノ海東龍白鷹山千代丸勇磨千代の海輝鵬島津海紫雷欧勝馬熱海富士
大奄美東十両9☆11勝4敗
だいあまみ天空海友風貴健斗千代丸千代栄英乃海東龍紫雷美ノ海輝鵬玉正鳳北の若熱海富士獅司
友風西十両9☆10勝5敗
ともかぜ千代栄大奄美天空海志摩ノ海千代丸輝鵬英乃海東龍千代の海紫雷欧勝馬玉正鳳熱海富士北の若
千代栄東十両10☆8勝7敗
ちよさかえ友風志摩ノ海對馬洋天空海大奄美獅司美ノ海勇磨輝鵬英乃海紫雷白鷹山水戸龍東白龍玉正鳳
志摩ノ海西十両10★5勝10敗
しまのうみ千代丸千代栄獅司友風輝鵬勇磨千代の海白鷹山對馬洋東白龍島津海一山本北の若向中野貴健斗

四股名番付勝敗十一十二十三十四千秋楽
千代丸東十両11☆8勝7敗
ちよまる志摩ノ海對馬洋英乃海大奄美友風美ノ海紫雷天空海獅司勇磨北の若島津海東龍一山本
對馬洋西十両11★3勝12敗
つしまなだ獅司千代丸千代栄英乃海紫雷千代の海勇磨輝鵬志摩ノ海貴健斗高橋東龍一山本白鷹山欧勝馬
獅司東十両12☆9勝6敗
しし對馬洋英乃海志摩ノ海紫雷勇磨千代栄貴健斗千代の海千代丸荒篤山東白龍熱海富士玉正鳳狼雅大奄美
英乃海西十両12★5勝10敗
ひでのうみ輝鵬獅司千代丸對馬洋千代の海大奄美友風貴健斗向中野千代栄勇磨狼雅石崎大の里高橋
輝鵬東十両13★7勝5敗3休
きほう英乃海紫雷勇磨千代の海志摩ノ海友風大の里對馬洋千代栄大奄美天空海東白龍
紫雷西十両13☆8勝7敗
しでん勇磨輝鵬千代の海獅司對馬洋木竜皇千代丸大奄美貴健斗友風千代栄水戸龍天空海北の若東龍
勇磨東十両14★6勝9敗
ゆうま紫雷千代の海輝鵬栃武蔵獅司志摩ノ海對馬洋千代栄天空海千代丸英乃海貴健斗白鷹山一山本島津海
千代の海西十両14★4勝11敗
ちよのうみ時疾風勇磨紫雷輝鵬英乃海對馬洋志摩ノ海獅司友風天空海一山本美ノ海貴健斗栃武蔵東白龍

今場所を振り返る

豊昇龍が初優勝で大関昇進を確実に

関脇・豊昇龍が12勝3敗で同点の優勝決定戦に勝利し、自身初の幕内優勝。大関昇進を確実にしました。

まず本割では優勝争いで3敗と並ぶ伯桜鵬と対戦。立ち合いでは張って差しにいき、伯桜鵬に巻き変えられ上手になった瞬間に投げ、上手投げで勝ち。条件付きだった敢闘賞の受賞を決めました。
続く優勝決定戦は、自力優勝の可能性を残した北勝富士との対決。攻めて差しにいく豊昇龍を嫌った北勝富士が引いたすきをついて一気に押し出しで勝ちました。
この結果、自身初の幕内最高優勝を手にしました。

これを受け、日本相撲協会審判部は豊昇龍の大関昇進を諮る臨時理事会の招集を理事長に要請。理事長はこれを了承しました。
臨時理事会で昇進が見送られた例はなく、7月26日に行われる臨時理事会と、同日行われる番付編成会議を経て豊昇龍の大関昇進が正式に決まります。
佐渡ヶ嶽審判部長は大関昇進について報道に対し「優勝が条件だった」と述べ、薄氷の大関昇進です。
豊昇龍は、同じ関脇の大栄翔、若元春とともに「トリプル大関取り」を狙う場所でした。
その初日、翔猿戦ではかろうじて白星を挙げますが、リプレイ映像では「手が土俵の砂を先に払っている」誤審疑惑からスタート。
3日目には好調錦木に敗れますが、4日目から6連勝と好調を維持。終盤は大関・霧島と関脇・若元春に連勝し、3敗で自力優勝の可能性を残して迎えた千秋楽。
本割では新入幕で好調の伯桜鵬と、優勝決定戦では12日目に敗れた相手の北勝富士に続けて勝ち、運も味方に付けて優勝を手にしました。
「型がない」と言われ続けてきたものの、連日多彩な技を繰り出しての好成績でした。

三賞は技能賞を2回獲得しているものの、敢闘賞は初受賞。
条件付き「今日勝てば」を達成し、敢闘賞も自力で掴み取りました。

三賞は大盤振る舞い、受賞延べ8人は過去最多

三賞が発表され、受賞者7人・延べ8人は1947年に三賞制度が創設されて以来最多となりました。

殊勲賞は、横綱と三関脇を破って今場所を盛り上げた錦木が受賞。
技能賞は、史上最速タイの新入幕で、左四つの型が評価された伯桜鵬が受賞。
敢闘賞は、豊昇龍、琴ノ若、北勝富士、豪ノ山、湘南乃海、伯桜鵬の6名が受賞。
うち4名は「今日(千秋楽)勝てば」の条件付きでしたが、全員が勝利し受賞となりました。

受賞者7人・延べ8人は1947年に三賞制度が創設されて以来、過去最多。
伯桜鵬は初土俵から4場所目で歴代最も早く、錦木は初土俵から103場所目で最も遅い受賞です。
特に敢闘賞の受賞者が多く、準備していたトロフィーが足りずに撮影に臨む珍しい写真が公開されました。
不足したトロフィーは後日贈られるとのことです。

三賞選考は基準が不透明かつ小出しだとして一部ファンからの批判を受けていましたが、今回は明快かつ大盤振る舞い。
選考基準もわかりやすく、殊勲賞の錦木・技能賞の伯桜鵬はもちろん、敢闘賞は二桁勝利を基準としつつも
小結・琴ノ若は関脇昇進の基準となる11勝、関脇・豊昇龍は優勝争いに絡む12勝を求め、それを達成したことで受賞につながりました。
豊昇龍、琴ノ若は寂しい上位陣の中での努力、豪ノ山、湘南乃海、伯桜鵬は新入幕での活躍、
錦木、北勝富士はベテランの奮闘という物語性があることもポイントでしょう。
今後もファンに寄り添った三賞選考をお願いしたいところです。

関脇大栄翔、若元春は大関取りならず

豊昇龍と並んで「大関取り」が注目された関脇・大栄翔と若元春は成績が伸び悩み、「トリプル大関昇進」は幻に終わりました。
大栄翔は4日目に好調の錦木、6日目に小結・琴ノ若に敗れるも、中盤戦までは8勝2敗と好調。
しかし、11日目に大関・霧島に敗れると負けが込み、終盤戦は1勝4敗と急減速で、その1勝も立ち合い変化で叩き込みと自身の型とは異なる内容。
9勝6敗で場所を終え、二桁勝利はなりませんでした。
総じて敗れた相撲は得意の突き押しをひらりかわされ倒れるという形が多く、突き押し相撲のもろさを露呈しました。

若元春は中日8日目まで6勝2敗と好調でしたが、後半に入ると次々と星を落とし、9日目から千秋楽までの7戦を3勝4敗と失速。
特に14日目の豊昇龍戦はめったに見せない横っ飛びの変化を見せるも冷静に対応され小手投げで敗れ、次の取組で変化した大栄翔とともに批判を受けました。
続く千秋楽の朝乃山戦は得意の左四つの形を一瞬作るも逆転され、連敗。大栄翔と同じ9勝6敗で場所を終えました。
6敗のうち半数の3敗は大関または大関経験者(正代・霧島・朝乃山)で、大関の壁に跳ね返された形です。

二人とも二桁勝利はなりませんでしたが、報道によれば「大関取り」はリセットすることなく継続する見通し。
翌場所はハイレベルな勝ち星のみならず、内容面も問われることになりそうです。

横綱照ノ富士・大関貴景勝の休場

場所前は横綱照ノ富士の連覇など上位陣の活躍が期待されましたが、照ノ富士・貴景勝が残念な休場です。

大関・貴景勝が持病の膝の怪我で稽古すらできない状況で、場所を全休しました。来場所はカド番です。

そして、連覇がかかっていた横綱・照ノ富士は3日目・翔猿との荒れた相撲で腰を痛め、4日目から休場。
来場所までに回復できるか心配な状況です。

照ノ富士=横綱・照ノ富士が休場、ヘルニアなどで1か月間の安静…師匠「とりあえず痛みを取らないと」(読売)
貴景勝=貴景勝が休場、秋場所はカド番…師匠「ぶっつけ本番で取れるほど相撲は甘くない(読売)

古傷休場からの再出場で意地を見せた新大関・霧島

新大関・霧島は今場所での活躍が大いに期待されましたが、1年以上前からだという「肋骨の痛み」で初日を休場。
3日目まで休場しますが、4日目から再出場。当初は思うように力が出せなかったようで、中日8日目まで5戦を2勝3敗。
しかし、翌9日目から4連勝を挙げる活躍。13日目からは3連敗しましたが、総じて内容面は悪くなく、結びの一番を引き締めて新大関としての意地を見せました。
残念ながら勝ち越しはならず、来場所はカド番です。

霧島休場=初日に休場の新大関・霧島、1年以上前からの痛みが悪化「痛くて動けない」(読売)
霧島再出場=4日目から出場の霧島 “新大関初戦”は琴ノ若との一番(報知)

小結・琴ノ若は関脇昇進濃厚、阿炎は平幕へ

小結・琴ノ若は11勝4敗で敢闘賞を受賞しました。
小結で11勝以上を挙げると関脇に昇進することが通例になっており、琴ノ若は来場所での昇進が確実です。
琴ノ若は今場所まで4場所連続で小結で、よく言えば安定、悪くいえば停滞してきましたが、相撲一家に生まれた25歳がいよいよ動き出しそうです。
今回の11勝は当然「大関取り」の起点ともなるもので、先に関脇へ昇進している大栄翔、若元春と競い合って成長していくことを期待します。

阿炎は6勝9敗で負け越し、来場所は平幕に陥落する見込みです。
中日8日目までは4勝4敗と五分でしたが、翌9日目から5連敗と低迷して負け越しました。
阿炎は突っ張り一辺倒の取り口で、好不調が場所によって振れ幅が激しい力士であり、今回は好調力士に対策されたことで残念な結果に。
とはいえ千秋楽の大関・霧島戦では得意の突き技が効果的に決まり、来場所への含みを残しました。

前半戦を牽引した錦木は新三役へ

幕内筆頭の錦木は、2日目の横綱・照ノ富士戦で金星を挙げ、3日目から5日目にかけて三関脇に連勝。
7日目には小結・琴ノ若に敗れたことで先場所からの連勝記録が14で止まり、三役以上からの全勝はなりませんでした。
翌8日目から4連勝しますが、12日目・13日目には新入幕の湘南乃海・伯桜鵬、14日目には好調の竜電・北勝富士との対戦が組まれ、4連敗。
結果は10勝5敗で自身の最高記録である11勝には乗せられませんでしたが、それでも金星と前半戦の活躍が認められ殊勲賞を受賞。
来場所は新三役の見込みで、一時は体調を崩して十両に陥落していたベテランは33歳にして華開きました。

怪我で途中休場の朝乃山は再出場で勝ち越し

人気の朝乃山は前頭4枚目まで番付を戻し、上位総当たりの地位で真価が問われることになりました。

元大関らしく6日目まで4勝2敗としましたが、7日目に関脇・豊昇龍に上手投げで敗れた際、投げをこらえて左腕を痛め翌8日目から休場。
親方は再出場に慎重としていましたが、腕が動くようになり本人が再出場を希望。
再出場の12日目からは大関・霧島からの白星を含む4戦全勝で、8勝4敗3休(不戦1含む)の勝ち越し。
上位と取っても遜色ない活躍ができることを見せ、7月末からの夏巡業では地元富山を含む各地で祝福を受けることでしょう。

朝乃山休場=朝乃山休場、腕を負傷 再出場は慎重姿勢(読売)
朝乃山再出場=朝乃山が再出場へ 大相撲名古屋場所(時事)

序盤好調の高安は急ブレーキで負け越し

前頭7枚目の高安、序盤5日間は5連勝とし、優勝候補に名前が挙がりました。しかし翌6日目から7連敗と急減速。
最終盤で盛り返すも2勝しか挙げられず、全体では1点の負け越しで終わりました。

前半好調の玉鷲は辛くも勝ち越し

前頭7枚目の玉鷲は押し相撲が持ち味ですが、4日目から7日目まで自身初となる4日連続の寄り切り勝利。38歳にして新境地を感じさせました。
中日8日目までは6勝2敗と大きく勝ち越しましたが、後半は失速して残り7戦を2勝5敗。かろうじて1点の勝ち越しで場所を終えました。

好調北勝富士は上位との対戦も

前頭9枚目の北勝富士は今場所好調。特に4日目からは7連勝とし、優勝争いを牽引しました。
13日目まで2敗を守りましたが、14日目には優勝を争っていた伯桜鵬に痛い3敗目を喫して優勝争いは豊昇龍、伯桜鵬と並びます。

千秋楽では3敗同士の豊昇龍-伯桜鵬戦が組まれたため本割で勝てば優勝決定戦に進出します。
錦木との取組では今場所光る腰の重さと突き押しの強さを見せ、圧力で押し込み引き落としで勝ち、決定戦進出。
伯桜鵬に勝って決定戦に進んだ豊昇龍は本割12日目で勝った相手。廻しを取る豊昇龍の攻めに屈して引き込んでしまい、そのまま土俵外へ。
対戦後は悔し涙が止まらなかったといいます。とはいえ、12勝3敗の成績が評価され敢闘賞を受賞。
31歳でベテランの域ではありますが、次につながる結果を残しました。

竜電は10連勝で勝ち越し

前頭15枚目の竜電は、初日から4連敗で出遅れます。しかし、5日目に迎えた伯桜鵬では若さと力強さを巧さと粘り腰で耐え、寄り切りで勝利。
そこから白星を積み重ね、14日目まで10連勝の大記録。千秋楽こそ琴ノ若の圧力に屈し寄り切りで敗れましたが、10勝5敗と大きく勝ち越しました。
この程度の番付で負けている場合ではない様子です。

新入幕の豪ノ山、湘南乃海、伯桜鵬

新入幕の豪ノ山(前頭13枚目)、湘南乃海(前頭14枚目)、伯桜鵬(前頭17枚目)はいずれも魅力的で内容のある相撲を取り、今場所を大いに盛り上げました。
豪ノ山と湘南乃海は10勝5敗、伯桜鵬は11勝4敗でいずれも敢闘賞を受賞しました。伯桜鵬は技能賞とのダブル受賞です。

豪ノ山は豪栄道の武隈親方の弟子で、突き押しが持ち味。
湘南乃海は中卒からの叩き上げで、身体の大きさを生かして相手をひっくり返すような豪快な相撲。
伯桜鵬は元横綱白鵬の宮城野親方の弟子で、初土俵から4場所で新入幕した「令和の怪物」とも。
19歳とは思えない堂々とした相撲ぶりで、突き押しに負けない強靱な足腰と多彩な技が魅力。
14日目には2敗のベテラン北勝富士に勝って同点の3敗とし、109年ぶりの新入幕優勝の可能性を残します。
千秋楽での豊昇龍との取組では、優勝をかけた鋭い眼光を多くの人々の印象に残しましたが、
立ち合いから差し手を巻き替えたところをすかさず投げられ、思わず右手を土俵についてしまい敗れました。

湘南乃海と伯桜鵬は上位との対戦も組まれ、好内容の取組が多く見られました。
この三人は、来場所以降も幕内を盛り上げていくことが期待されます。

十両優勝は熱海富士

今場所の十両優勝争いは、千秋楽まで優勝候補が7人残る拮抗した展開でした。

14日目を終えた時点で、4敗が熱海富士、大奄美、友風。5敗が輝、玉正鳳、北の若、獅司。
千秋楽の十両取組では、4敗の大奄美が勝ったため5敗勢の可能性が消滅。友風は敗れ、熱海富士が勝ったため優勝決定戦に。
熱海富士対大奄美の決定戦は、正面からぶつかり暫く組み合うところ、熱海富士が身体を振って攻め入ると大奄美はこれを嫌って引き込み、熱海富士がそれに乗じて押し倒し。
結果、熱海富士が11勝4敗で初めての十両優勝を手にしました。

期待の若手と言われ、初土俵から新十両まで9場所、新入幕まで13場所のスピード出世を果たしたものの、
新入幕の令和四年十一月場所で4勝11敗と幕内の壁に跳ね返され大きく負け越し、今年の一月場所からは十両で相撲を取っていました。
十両筆頭で大きく勝ち越した熱海富士は来場所の再入幕が濃厚で、幕内での再起が期待されます。

十両トピックス

怪我で休場ののち再出場した十両3枚目の一山本は4勝9敗2休とし、十両残留を確実にしました。
初日から4連敗ののち、5日目から左膝の怪我で休場。残り全休ではでは十両陥落の可能性が高かったところ、8日目から再出場。
8日目は幕内・竜電との対戦が組まれ黒星を喫しますが、9日目からは十両同士での対戦となり、再出場8日目からの成績は8戦4勝4敗。
怪我の調子は不明ですが、ひとまず幕下降下の危機は免れました。

来場所の幕内昇進予想をすると、最低2枠の場合は十両筆頭で勝ち越した輝と熱海富士が順当に昇進。
3枠目を作る場合は5枚目で10勝5敗の玉正鳳が昇進しますが、十両筆頭に据え置かれる可能性も高そうです。
十両陥落は、6枚目で全休の藤青雲、10枚目で5勝10敗の志摩ノ海、11枚目で3勝12敗の對馬洋、14枚目で6勝9敗の勇磨、同じく14枚目で4勝11敗の千代の海が確実。
さらに千秋楽に幕下との「入れ替え戦」が組まれた12枚目の英乃海は高橋に敗れ5勝10敗で確定的。
幕下からは5人が上がってくることになり、うち1人は新入幕の先場所で負け越し幕下に降下していた時疾風が7勝全勝で優勝し、再十両を確定させています。
残り4枠を微妙な星の差で争う形になっており、番付発表が待ち遠しいです。

一山本=一山本が再出場 13日から日本相撲協会へ診断書を提出し休場も幕下陥落の可能性を回避へ

総評

幕内では、横綱・大関の休場で面白くない展開にもなり得るところ、金星を挙げ序盤連勝して前半を引っ張った殊勲賞の錦木、
大きく勝ち越して優勝争いに名を連ねた北勝富士などベテランの奮起、そろって二桁の白星を挙げた新入幕三人の躍動など総じて見どころが多く、飽きさせませんでした。
場所前の目玉だった「トリプル大関昇進」は実現しませんでしたが、豊昇龍が12勝3敗で優勝して大関の座を確実に
三賞の歴代最多7人・のべ8人受賞という記録が各力士の活躍ぶりを物語っています。

十両は先場所までの賑やかさが懐かしくなるほど地味な展開が続きましたが、これが本来の形だと思います。
それでも最終盤には最大7人の優勝争いとなる混戦模様となり、最後まで目が離せませんでした。
来場所は十両幕下間で5人の入れ替えが予想され、新十両の活躍にも期待できそうです。

今後は7月26日の臨時理事会と番付編成会議、7月末からの夏巡業を経て、九月場所へと向かいます。

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