はじめて大相撲

2023年7月8日

このページにたどり着いた方の中には、初めて大相撲に強い興味・関心を持った方もいらっしゃるかと思います。
ここでは、主に初心者の方向けに現代の大相撲について簡単に説明します。

はじめに

大相撲は、特に興味がなくても物心ついた頃にはテレビで放映していたのを見ていた、という方も多いと思います。
NHKの大相撲中継は、1953年のテレビ放送開始当初からの人気コンテンツです。
気心の知れた友人同士で相撲を取る、といった文化がほぼなくなった今でも、
大相撲は野球やサッカーなどと並んで人気スポーツ・格闘技として注目され続けています。
もちろん日本の相撲は世界でも有名で、大相撲の会場内には外国からのお客様を大勢見かけますし、
相撲部屋の中には外国人観光客の稽古見学を積極的に受け入れているところもあります。

このページでは、テレビ・ラジオ・ネット中継だけにとどまらない現代の大相撲について見ていきたいと思います。

なお、「大相撲」とは江戸時代に由来する言葉で「幕府に認められたプロの相撲」という意味です。
対極の言葉は「辻相撲」で、街中で人垣を作って行われるもので、たびたび幕府から禁令が出されました。

プロの相撲は京都や大阪にもありましたが、歴史的経緯から東京と合同して一つの団体になり、
現在の「公益財団法人日本相撲協会」に至っています。現代の大相撲興行は日本相撲協会が一手に引き受けています。
一方、アマチュア相撲の統括団体は「日本相撲連盟」といいます。

大相撲の一年

初場所、春場所、名古屋場所など、○○場所という言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。
これは、毎年行われている「本場所」(番付を決めるための本興行)の通称です。
正式には、開催される月を漢数字で取って「一月場所」などと呼びます。
一方、相撲の興行には全国各地を廻る「巡業」も欠かせません。
大相撲界の一年をまとめると、次のようになります。

1月:一月場所(初場所、東京両国国技館)
2月:日本大相撲トーナメント(フジテレビ主催)、NHK福祉大相撲(会場はいずれも東京両国)など
3月:三月場所(春場所、大阪場所)
4月:春巡業(関西、中部、関東が中心)
5月:五月場所(夏場所、東京両国国技館)
6月:海外巡業など。特にイベントがない年は合宿が行われることが多い。
7月:七月場所(名古屋場所)
8月:夏巡業(東北、北海道など)
9月:九月場所(秋場所、東京両国国技館)
10月:秋巡業(中国、四国など)
11月:十一月場所(九州場所・福岡)
12月:冬巡業(九州、沖縄など)

このように、奇数月が本場所、偶数月に巡業が行われるスケジュールになっています。
なお、大相撲が本場所15日間・年6場所制になったのは比較的最近のことで、1958年(昭和33)年です。
それまでは本場所の興業期間が短かったり、場所の数が少なかったりしました。

大相撲が行われる場所

上記のように、大相撲の本場所は年6場所行われ、うち東京が3場所、大阪・名古屋・福岡が各1場所です。順にご案内しましょう。

・【東京】両国国技館
  大相撲の殿堂、聖地。正式には単に「国技館」。現在の両国国技館は1985年より使用しています。
  年に3回、大相撲の本場所を行うことが主目的ですが、場所以外の期間には格闘技やライブの会場などとして貸し出すことで収益をまかなっています。
  土俵は常設(場所のたびに半分壊して再建する)ですが、貸し会場として使うときは地下に収納ができる構造になっています。
  1階のタマリ席と2階のイス席があり、定員は11,098人です。住所は東京都墨田区横網一丁目。「よこづな」ではなく「よこあみ」です。
  JR両国駅の目の前にあり、それもそのはず、かつて両国駅として使っていた跡地に建設されました。
  館内には相撲博物館や土産物店、飲食店などがあり、丸一日過ごしても飽きません。

  ちなみに、「国技」とは相撲業界の自称で、相撲を唯一の国技と定めた法令や武道関連団体の決まり事などは一切ありません。

・【大阪】大阪府立体育会館(エディオンアリーナ)
  例年三月場所(春場所)の会場として使われています。
  1951年に行われた仮設国技館の立地がよく好評だったことから、1952年に本設の体育館となり1953年から本興行が行われています。
  立地は前述の通り大阪なんばの中心地から歩いてすぐの場所にあり、とても繁華な立地です。
  日本相撲協会では施設命名権のとおり「エディオンアリーナ」の名前を使用していますが、
  NHKでは公共放送の立場から正式名称である「大阪府立体育会館」と呼んでいます。

・【名古屋】愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)
  例年七月場所(名古屋場所)の会場として使われています。非常に「暑い」ことで知られています。
  大相撲の興行を前提として1964年に竣工し、1965年の名古屋場所から長らく使用されてきましたが、
  老朽化が進んできたため2025年からは移転建て替えされる「愛知国際アリーナ」を使用することが決まっています。
  立地は名古屋城のすぐそばで、官庁街に接していることから重厚な雰囲気があります。
  この会場もNHKと日本相撲協会で呼び方が異なります。

・【福岡】福岡国際センター
  例年十一月場所(九州場所)の会場として使われています。1981年に竣工しました。
  福岡の市街地(博多、天神)からは離れた海沿いにあり、地下鉄の駅からも少し遠いため、路線バスが運行されます。
  東京・大阪・名古屋と比べて周辺人口が少ないため、毎年集客に苦戦している様子が見受けられます。

どこでも大相撲観戦

大相撲は江戸時代から現代に至るまで興業としての人気を保ち続けていました。
そのため、会場に行かなくても観戦する手段がいくつも存在します。
NHKの大相撲中継はもちろん、他の視聴方法も紹介します。

・【NHK】大相撲中継
  総合テレビ=(平日)15:10~18:00、(土日祝)15:05~18:00。国会中継がある日は原則17:05~。
   ※インターネットアプリ・NHKプラスで同時中継、見逃し配信あり。
   ※1953年5月に放送開始。テレビ放送(1953年2月1日開始)の番組としては最古の部類。
    テレビ中継にあたって視界を妨げる土俵の柱を取り除き、「吊り屋根」とした。
  BS1=13:00~総合テレビ放送開始まで。2023年11月末をもってBSプレミアムと統合予定だが、今後の放送の詳細は不明。
  BS4K=13:00~18:00。総合テレビやBS1がニュースなどで中断される際も場内風景や実況の放送が行われる。      総合テレビが緊急地震速報で特設番組に切り替わった際もBS4Kで独自に地震の注意喚起を行い、中継を再開したことがあった。
  ラジオ第1=16:05~18:00(千秋楽のみ15:05~18:00)。インターネット放送(公式サイト、らじる★らじる、radiko)でも放送。
   ※1928年1月から放送。日本の放送番組としては最古の部類に入る。放送時間に納めるため「制限時間」と「仕切り線」が設けられた。
  国際放送ではNHKワールド・プレミアム、NHKワールド・ラジオ日本で中継あり。NHKワールドでも一部日程の中継あり。

・【NHK】大相撲 幕内の全取組
  BS1で深夜、総合テレビで早朝に放送。その名の通り、前日の幕内全取組をダイジェストで放送する。

・【NHK】大相撲どすこい研
  BS1の特集番組。毎場所直前土曜夕方(再放送:翌日曜早朝)の放送が恒例になっている。
  一つのテーマを軸にNHK独自のデータ分析を交え大相撲にアプローチ。

・【NHK】大相撲取組動画
  NHK公式サイトで幕内・十両の取組動画を実況付きで配信している。
  動画再生回数ランキングをNHK放送番組内などで紹介。放送局としての特集記事なども掲載。

・【ABEMA】大相撲LIVE
  朝8:00(13日目~千秋楽は繰り下げ)から結びの一番まで前相撲・序の口を含む完全生中継。
  概ね幕下までは裏方(行司・呼出し)のプロフィールを紹介するなど、主に若年層にアプローチした新感覚の中継放送を行っている。

・【日本相撲協会公式アプリ】大相撲
  幕下上位5番を含む十両・幕内全取り組みムービーを配信している。無料会員は1日5本まで、タニマチ(有料会員)は無制限。

・【YouTube】親方ちゃんねる生配信
  日本相撲協会所属の親方が日替わりで取り組み内容を生解説。アーカイブあり。
  取り組み映像はなく、NHKやABEMAと同時に視聴することを前提にしている。

このほか、地上波・BS民放が自局の主催または自局に関連する相撲関連番組を放送することがあります。

チケットの入手方法

最後に、現地観戦したい方のためにチケットの入手方法について説明します。

本場所チケット入手の基本は、日本相撲協会公式の「チケット大相撲」(チケットぴあ系列)で、
七月場所(名古屋場所)のみローソンチケット系列の「Boo-Wooチケット」が取り扱います。
インターネット上で購入できるほか、「チケット大相撲」のチケットはセブンイレブンで、
「Boo-Wooチケット」はローソンとミニストップでも購入できます。
巡業のチケットは主催者(「勧進元」かんじんもと)から購入するのが原則です。

以上、参考になれば幸いです。

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