大相撲の番付社会

2023年7月8日

【更新日】2024年3月3日

大相撲は番付社会といいます。
部屋や巡業先での待遇も違いますが、より端的に表すのは服装規定です。
要するに、力士を最上位から並べたときの順序によって、着るもの、着ていいものが違うのです。
ここでは、主に力士の服装について説明します。

番付は幕下以下と十両以上で天地の差

大相撲の地位を下から順に並べると、
(前相撲・)序ノ口・序二段・三段目・幕下・十両・幕内(前頭・小結・関脇・大関・横綱)となります。
このうち、幕下以下を「力士養成員」、十両以上を「関取」といいます。
この境目は他の階級の一つ差と比べて格段に大きく、全くといっていいほど待遇が異なります。
関取は月給がありますが、力士養成員に月給はありません。
関取でなければ結婚はできず、個室や自宅を持つことも許されません。
幕下以下はサインをすることもできず、協会からのグッズ販売もありません。

中でも、見た目からして差が出るのが服装規定です。格下の者は冬にコートを着ることもできません。
ここからは、各階級の服装規定と給料について見ていきます。

力士養成員

幕下以下の力士(力士養成員)は、稽古でも場所でも黒色の木綿の廻しを着用します。
場所への通勤は、公共交通機関に限られます。
相撲を取るのは、開催15日間のうち7日(または8日)です。 相撲部屋や場所中、巡業などでの雑用があります。
相撲部屋や巡業先での生活空間は大部屋です。

前相撲

新弟子検査を合格した者、先場所に序ノ口を全休した者、先場所に前相撲を全休した者が取る相撲が「前相撲」(まえずもう)です。
前相撲を取る者は正式な番付に名前が載りません。番付にも「その他に前相撲があります」という意味のことが書いてあります。
現在では前相撲を一番でも取れば「出世」といい、次の場所では序ノ口に進むことが出来ます。
新弟子検査を合格し出世がかなった力士は場所中に「新序出世披露」(しんじょしゅっせひろう)が行われ、関取の先輩に借りた化粧まわしをつけた初々しい姿を見ることが出来ます。
なお、二回目以降に序二段へ戻ることを「再出世」(さいしゅっせ)といい、「出世披露」は行いません。

序二段

正式な階級として最も下の地位が「序ノ口」(じょのくち)です。
番付の一番下の段に記載され、文字が読めないほど小さいので「虫眼鏡」とも呼ばれる階級です。定員はありません。

服装は、部屋から支給された「仕着せ」(自分で仕立てたものではない、という意味)の浴衣・素足に桐の下駄・縮緬(化繊)の帯を着用します。
序ノ口で勝ち越した場合は概ね次の序二段に進みます。

序ノ口

下から二番目の階級が「序二段」(じょにだん)です。
名前の由来は四股名が番付の下から二段目に記載されるため。定員はありません。

服装は、序ノ口と同じく「『仕着せ』の浴衣・素足に桐の下駄・縮緬(化繊)の帯」を着用します。
序ノ口で勝ち越した場合は概ね次の序二段に進みます。

三段目

下から三番目の階級が「三段目」(さんだんめ)です。
名前の由来は四股名が番付の下から三段目に記載されるため。
この階級から定員があり、三段目の定員は180人(2022年5月場所~)です。

服装は、下駄に代えてエナメルの雪駄を履けるようになります。
足が冷えなくなるため、これが序二段以下の力士にとって大きな憧れになっているようです。
浴衣に加えて公式な場面では羽織を着用できます。普段は浴衣を着用します。

幕下

力士養成員として最も上の階級、関取にあと一歩の地位が「幕下」(まくした)です。
定員は120人で、数少ない十両昇格枠をめぐって各階級でもっとも最も激しいといわれる争いが繰り広げられます。

服装は、絹の博多帯に番傘を使えるようになり、ぐっと相撲取りの風格が増します。
冬にはコート(外套)の着用を許され、冬の寒さをしのぐことができます。黒足袋も履けます。

関取(十両・幕内)

関取(十両・幕内)の地位に昇格すると、一人前の力士として認められ、さまざまな恩恵を得ることができます。


幕内以下と十両以上の差が大きいだけに、十両以上の階級に服装規定上の大きな違いはありません。
ただし、給料には大きな格差があります。

十両の定員は28人、幕内の定員は42人です。
大相撲の力士は現在600~700人程度ですので、上位10%程度が関取ということになります。
幕内は全体で定員42人のため、横綱や三役(大関・関脇・小結)の人数が多いと、そのぶん前頭の人数が減ります。

以上のように、大相撲の力士は番付によって大きな待遇差があります。参考になれば幸いです。

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